建設業界で一級建築士として働く私が、建設業界について噛み砕いて、そして率直に解説します。主要な会社については一社ごとに紹介します。
普通の就職活動ではわからない、各社の特徴や評判まで脚色ありまくりで書いていきます。
あまり信じてもらっても困るのですが、大枠は外さないつもりですので参考程度にはなるはずです。
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今回は奥村組について紹介します。
記載のデータは2019年発表の有価証券報告書に基づいて掲載しています。
概要
社名
株式会社奥村組(東証1部)
キャッチコピー
人と自然を、技術で結ぶ
売上高(連結)
2208億円
経常利益(連結)
150億円
売上高の内訳
土木事業 | 916億円 |
建築事業 | 1183億円 |
不動産事業 | 46億円 |
その他 | 61億円 |
合計 | 2208億円 |
土木:建築=1:1.3
開発事業比率2%
社員数
連結2074人 本体2003人
平均年齢
43.3歳
平均継続年数
17.4年
平均年収
986万円
設立
1938年
有名なプロジェクト
・東京芸術劇場
・関西国際空港旅客ターミナルビル
・台北地下鉄環状線CF643A標シールド
・中部国際空港
解説(ここからは私見が入ります)
土木工事の割合が高い中堅ゼネコン。
同族経営でゼネコンの例にもれず堅実で昭和的な社風である。
土木工事に関しては大規模工事を手広く受注しており、建築工事については中規模建築を主に手掛けている。
中堅ゼネコンはどこもそうであるが、大規模建築工事はあまり手を出さず、中規模程度の工事を手堅く受注していくことが多い。
建設会社は会社の規模が小さくなればなるほど施工寄りの経営体質になる傾向があるため、中堅以下のゼネコンは設計施工での勝負は中々勝てないが、他社設計の施工だけの入札ではコスト面で有利に戦うことができる。
また、奥村組の特徴として平均年収の高さが挙げられる。他の中堅ゼネコンが軒並み800万円台なのに対し、1000万円近い給料を払っている。
これは準大手ゼネコンの中でもトップになる金額で、大手5社より多少少ない程度である。就職難易度が大手5社より極端に下がることを考えると、給料の話だけなら堅実な就職先として検討できる。
経営は非常に堅実で、ここ数年の建設業好景気の中でも売り上げをほぼ増やさず、利益だけを増やしている。それだけ儲かる仕事を厳選して受注できている証拠であり、無理をしない姿勢がみて取れる。
不動産事業はおまけ程度の売上なので、あくまで施工して稼ぐ会社であるが、公式ホームページを見る限りでは、今後は建築分野で設計施工一貫の受注を増やそうというのがわかる。
この設計施工一貫方式は大手ゼネコンも含めどのゼネコンも積極的に拡大したい受注方式で、設計、監理、施工まで全部ゼネコンがやるという方式で事業全体のコストを下げやすく、建築主のプロジェクトの推進についても全てゼネコンが窓口となるためスムーズといった利点がある。施工側も設計側も調整相手が社内になるので、スピード感がでる。意匠計画や品質管理に全く問題がなければデメリットは建築主も受注側もほとんどない方式である。大手では設計部が強い竹中工務店が特に得意な分野である。
奥村組も設計施工一貫プロジェクトを増やしたいということは強力な設計部隊を持ちたいという意思があるはずなので、これからさらに設計系社員の採用に力を入れるだろう。
私の専門が建築なので建築のことばかり書いてしまったが、あくまで土木の売上が高く、利益率も建築よりいいので、土木系の社員も十分活躍できる企業である。
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