建設業界で一級建築士として働く私が、建設業界について噛み砕いて、そして率直に解説します。主要な会社については一社ごとに紹介します。
普通の就職活動ではわからない、各社の特徴や評判まで脚色ありまくりで書いていきます。
あまり信じてもらっても困るのですが、大枠は外さないつもりですので参考程度にはなるはずです。
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今回は熊谷組について紹介します。
データは2019年度有価証券報告書に基づき掲載しています。
概要
社名
株式会社熊谷組(東証1部)
キャッチコピー
高める、つくる、そして、支える
売上高(連結)
3890億円
経常利益(連結)
265億円
売上高の内訳
土木事業 | 1116億円 |
建築事業 | 1954億円 |
子会社事業 | 975億円 |
事業間取引 | -155億円 |
合計 | 3890億円 |
・土木事業:建築事業=1:1.7 (国内)
社員数
連結4032人 本体2497人
平均年齢
44.8歳
平均継続年数
19.8年
平均年収
782万円
設立
1938年
有名なプロジェクト
・TAIPEI 101(台湾)
・新宿野村ビルディング
・中国銀行タワー(香港)
・徳山ダム
解説(ここからは私見が入ります)
準大手ゼネコンの一つ。
北陸地方発祥のゼネコンのため、北陸ではシェアが高い。北陸新幹線開通に向けた工事でも存在感を放っている。
福井県に原子力発電関連施設が多くあるのは、熊谷組創始者の息子が開発を推進したからである。
建築工事では、国内では恐竜博物館などの北陸の建築や都心部での超構造ビルなど幅広く実績がある。TAIPEI 101や中国銀行タワーなど海外の有名建築も施工してる。
土木工事においては特にトンネル工事の実績が多いが、幅広く手掛ける。
基本的には土木工事で成長してきた会社なので、建築よりは土木が強い印象。
1980年代では海外進出がすさまじく、売上高が業界トップだったこともある。しかし、バブル崩壊で経営危機に陥り会社を再建した過去がある。
2000年代は経営再建の名残で非常に経営状況が厳しい状況であったが、2010年代に入って建設需要の増加も手助けとなり経営は安定している。
そういった過去があることが理由かは不明だが、平均年収は準大手ゼネコンの中では低い。
住友林業と再生可能エネルギー分野や、木化工事分野で資本・業務提携をしている。
結果的に経営危機に陥ったものの、海外進出をどの会社よりも早く強く推進し、成果を上げたことはチャレンジ精神が足りないと言われがちな建設業界では評価できることである。
その熱量を現在でも見習い、もう少しリスク管理力が合わさればさらに成長が見込める企業であると思う。
あくまで現場主義な会社なので、設計系の方はあまり候補にならないかもしれないが、熱い熱量を持った人にはぜひ検討してもらいたい企業である。
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