今回は建設会社の中でも異色の企業である東鉄工業です。
その名の通り東日本の鉄道工事を得意とするほぼJRと言ってもいい企業です。
今まで紹介してきたゼネコンとは雰囲気が全く違うので、同じ括りでいいのか怪しいですが、いつも通り解説していきます。
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記載のデータは2019年発表の有価証券報告書に基づいて掲載しています。
概要
社名
東鉄工業株式会社(東証1部)
キャッチコピー
誠実で☆キラリと光る☆ナンバーワン&オンリーワン
売上高(連結)
1347億円
経常利益(連結)
127億円
売上高の内訳
土木工事 | 871億円 |
建築工事 | 397億円 |
その他 | 78億円 |
合計 | 1347億円 |
土木:建築=1:0.45
社員数
連結1835人 本体1673人
平均年齢
41.3歳
平均継続年数
13.7年
平均年収
854万円
設立
1943年
有名なプロジェクト
・五色桜大橋
・北陸新幹線新設工事
・海浜幕張駅
・東京都交通局大江戸線
解説(ここからは私見が入ります)
一応ゼネコンという立ち位置ではあるが、鉄道建設会社と考えたほうがしっくりくる中堅ゼネコン。
2018年度の完成工事高のうち、なんと82%がJR東日本から発注されたもので、完全にJR東日本依存型の企業体質となっている。
そもそも会社の発祥が旧鉄道省が鉄道建設工事をするために設立したという経緯なので、当然鉄道関係の仕事がほとんどである。
中堅以上のゼネコンの中で、一つの発注者にこれほど依存しているゼネコンは東鉄工業のみで、前回記事にした鉄建建設もJRへの依存度は高いものの、30%程度である。それを踏まえるとやはり東鉄工業はぶっちぎりである。
こまでくると子会社ではだめなのかと思うが、JR東日本による持ち株比率は10%程度である。
JRは工事を発注する際、競争入札制度を取るので子会社化すると公平性が失われてマズいのかもしれない。(勝手な想像です)
施工実績も見ても、鉄道、橋、トンネル、立体交差など、鉄道に関わる鉄道土木工事がほとんどで、建築分野となると駅ビルやJR所有ホテルくらいのものである。
現社長はJR東日本の元副社長であり、これだけJRに依存していたらそりゃそうだろうという天下りっぷりである。
ただ、やはり鉄道というのは国家のインフラとして最重要機能の一つであり、JRが鉄道を造る際に頼りになる子分がいたほうが仕事がスムーズで、トップが良く知った顔ならなおさらである。
毎回毎回大手や準大手に依頼していたら、金がかかって仕方なく、できるインフラ整備もできなくなる。
平均年収はそこそこといったところで、利益率も高め。一応JR東日本より社員平均年収は高い。
1分野特化型ゼネコンは利益率が高めに出せる傾向があるので、今後もJRの投資活動が積極的であれば東鉄工業も大丈夫だろう。
鉄道建設がしたい人にとっては全ゼネコンの中では一番おすすめできる企業であるが、鉄道開発やりたいならそもそもJR行けばよくないか?という疑問は常に浮かびあがる。
あくまで自分は開発ではなく現場で鉄道を造りたいという熱い想いをもつ社員ばかりいるのだろうと私は勝手に前向きに想像している。
あと、キャッチコピーがこれほどまでにダサい企業も珍しい。
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