建設業界で一級建築士として働く私が、建設業界について噛み砕いて、そして率直に解説します。主要な会社については一社ごとに紹介します。
普通の就職活動ではわからない、各社の特徴や評判まで脚色ありまくりで書いていきます。
あまり信じてもらっても困るのですが、大枠は外さないつもりですので参考程度にはなるはずです。
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今回は錢高組について紹介します。
データは2019年度有価証券報告書に基づき掲載しています。
概要
社名
株式会社錢高組(東証1部)
キャッチコピー
大地への愛 人間への愛
売上高(連結)
1281億円
経常利益(連結)
69億円
売上高の内訳
建設事業 | 1254億円 |
不動産事業 | 26億円 |
合計 | 1281億円 |
・土木事業:建築事業=1:3
社員数
連結953人 本体948人
平均年齢
44.7歳
平均継続年数
18.3年
平均年収
824万円
設立
1931年
有名なプロジェクト
・あべのハルカス
・日産スタジアム
・ナイル川源流橋(ウガンダ)
・新湊大橋
解説(ここからは私見が入ります)
大阪に本社を構える中堅ゼネコン。
中堅ゼネコンという括りにはなるものの、日本全体でみれば売上高1200億円を超える大企業である。
宮大工から始まった企業であり、在阪企業であるため西日本の建築に施工実績が多い。
土木建築比率も建築事業が土木事業の3倍以上の売り上げを上げている。
大規模建築は単独で受注することは少ないものの、大手ゼネコンとJVを組んで施工することも多く、あべのハルカスやMARK IS 福岡ももちなどは同じ在阪ゼネコンである竹中工務店とJVを組んで施工した。
橋梁の実績が多数あり、ナイル川源流橋など海外の大規模な橋梁工事も手掛ける。
銭高一族による同族経営が続いており、完全なトップダウンタイプの会社である。歴史が古い会社でもあるため、企業体質は相当古臭い部分が多く残る。大手ゼネコンが同族経営から生え抜きの社長の抜擢に変遷している流れの中で一族経営を貫いているので、そこは仕方ないか。
中堅ゼネコンの性であるのが、優秀な人材の流出であり、錢高組も例に漏れない。中堅ゼネコンはやはり待遇面で大手、準大手ゼネコンと開きがあるため優秀な人材はさらに規模の大きなゼネコンに転職してしまうことが多い。
理由としては大手でも中堅でも仕事内容は大きく変わらないため中堅ゼネコンで培ったノウハウは大手でも同様に使うことができるからである。同じような仕事をするなら待遇が良い大手ゼネコンに転職したいと考えるのは当然であり、採用人数を増やしている大手も多いため転職難易度は高くない。人材の流出を止めるためには抜本的な待遇改善が今後必要になるだろう。
中堅ゼネコンの中では満遍なくやる王道と言える受注スタイルをとっているため、大手との明確な差別化は難しく今後もコスト面で他社と競合していくような経営になると思われる。
豆知識になるが有名小説「銭形平次捕物帳」の銭形平次の苗字である銭形は錢高組からとったとされている。
建設業を考える就活生については、特別な思いがないなら就職はおすすめしない。普通に大手に入社したほうが何から何まで良いと思われる。
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