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ゼネコン

ゼネコンの裏金問題について現役ゼネコンマンが思うこと

一級建築士ブロガーのTOMOです。

朝日新聞でゼネコンの裏金問題についての記事がありました。

復興事業で裏金、数千万円が鹿島幹部へ 旅費など要求か:朝日新聞デジタル
 東日本大震災の復興事業を受注し、約2億8800万円の所得を隠したとされる廃棄物処理機械設置会社「コウキ」(兵庫県西宮市)の裏金作りに協力した複数の会社が、鹿島東北支店幹部(当時)へ数千万円の利益供与…

簡単にまとめると

「東日本大震災の復興費の一部がゼネコン社員の懐に流れていました。」

という記事です。

最近は非常にコンプラが厳しいので、中々裏金は難しいのですが直近でもやっていたということで驚いています。

始めに断っておきますが、私は裏金をもらったことはありません。

今回はゼネコンの裏金問題について現役ゼネコンマンが考察していきます。

ゼネコンマンの裏金の作り方

そもそもどうやって裏金を作るのか気になる方もいるかと思うのでやり方をお伝えします。

大きく分けると2つです。

水増し請求

一つ目が水増し請求です。

これが最も代表的な裏金の作り方で、実際には施工していない工事を施工したことにして下請け業者に請求書を提出させ、それを支払い、後からキックバックをもらうというやり方です。

当然支払いは会社の金で支払い、キックバックは個人の懐に入れます。

例えば、協力会社は5000万円の工事を施工したとしてそれを6000万円分やったことにしろとゼネコン側から要求します。

協力会社はかかった工数や材料を偽装した6000万円の請求書を出し、ゼネコン担当者がこれを承認して6000万円を支払い、入金後その何割かを協力会社からゼネコンの担当者に渡して完了です。

このやり方はシンプルかつ見破りにくいやり方なので、裏金の定番と言えます。

なぜ見破りににくいかというと、請求金額の元となる工数を現場が管理しているからです。

この裏金に用いるお金は仮設費と呼ばれるものが使われます。

建設工事には仮設工事と言って最終的に建物が完成した後には残らないけど、工事をする上で必要になる工事があります。

例えば、外周足場などが分かりやすい仮設工事です。

仮設工事は最終的に物が残らず設計図にも乗っていないため数量が後からわかりにくく、結局何人が仕事をしたかで金額が決められることが常です。

工事にかかった人数は現場の人間が日々管理しているため現場が虚偽の人数を容認していても内勤の部門ではわかりません。

だからバレにくいのです。

これが王道の裏金の作り方です。

一つ条件としては協力会社がグルである必要があるので、裏金を作りたい現場員と協力会社の信頼関係が築けていないとできない手法ではあります。

VE(バリューエンジニアリング)

二つ目がVE(バリューエンジニアリング)と呼ばれる手法で浮いたお金を懐に入れるやり方です。

VEというのは本来悪いことではなく、品質を変えずにコストを下げる手法のことを言います。

例えば、外溝の雨水枡を現場製作になっていたものを既製品に変えて、コストを下げるなどです。

ゼネコンで行われるVEというのは工事の利益幅を大きくするために行います。浮いたお金は会社の利益に上乗せするというものです。

最初の予算が厳しい現場だとこのVEをめちゃくちゃ頑張ります。

この浮いたお金を会社の利益にせず、自分の懐に入れようすると裏金にできます。

3万円の物が2万円になって1万円浮いたとしてもそれは浮いていないことにしておき、後から協力会社からキックバックをもらうというやり方になります。

これも先ほどの水増し請求と同じで協力会社がグルである必要があります。

ゼネコンで裏金がなくならない原因

昔からゼネコンでは当たり前のように裏金工作が行われており、協力会社も裏金工作によって何割かはもらえるので加担していました。

私の働くゼネコンでは

「所長をやれば高級車1台は手に入る」

とかつては言われていました。

根本的な問題は現場所長の裁量が大きすぎることです。

協力会社の選定や支払い額まで所長の一声で決まることが当たり前であり、裏金工作が非常に簡単な状況が続いています。

最近こそ内勤の管理も厳しくなってはいるものの、あくまで所長本人の倫理観による部分が大きく、裏金をやろうと思えばやれる状況は続いています。

今後は裏金工作はなくなるが、ゼネコンには弊害もある

ここからは私見による意見を述べていきます。

各ゼネコンではコンプライアンスに非常に厳しくなっているので、大手ゼネコンほど裏金はやりにくくなるでしょう。

一方で、裏金工作が出来なくなると優秀な施工管理人材の離職率は間違いなく上がると思います。

なぜかというと、はっきり言って現場の仕事は非常に辛いからです。

でも所長になれば甘い汁が吸えるという考えは多くの施工管理職が持っているはずで、コンプライアンスの名のもとに甘い汁を奪われた社員は

「所長になっても旨味がないし、こんな辛い仕事はやめよう」

という考えに至るでしょう。

ニュースになるような派手な裏金ではなく、小規模だが個人に入るお金としては十分魅力的な金額の裏金はやはり存在します。

特に若くして一級建築士を取得し、バリバリ活躍している社員は転職も容易なのでもっと楽して同じような給料をもらえる会社に転職するでしょう。

大手ゼネコンは裏金を厳しく取締ると優秀な人材が流出するため、従業員を飼い慣らしておかないとタダでさえ確保が難しい施工系の優秀な人材はいなくなってしまう構図が出来上がります。

私の知る限り、施工管理の仕事が心から好きで仕事をしている人は一人もいません。

ぶら下がっていたニンジンがなくなれば誰でも走るのをやめてしまうでしょう。

以下の記事にもつながるので、こちらもご覧ください。

ゼネコンは真っ当な甘い汁を用意しないと人材は確保できない

裏金工作が無理な以上、ゼネコン社員にとって給料以外の甘い汁はないということになります。

オリンピック景気が終了し、今後市場が縮小していくであろう建設業界は給料が今後少なくなっていきます。

戦争や大都市直下型大地震でも起きない限りこれは間違いありません。

大して給料も良くないキツイ仕事である施工管理職に誰が就職するでしょうか。

高学歴を始めとする優秀層の人材はゼネコンの設計には就職しても施工管理職には就職しないでしょう。

最近ではITやWEB業界が人気業界且つ、転職にも有利です。優秀な人間はそちらに行きます。

潰しが効きにくい建設業界はさらに人材難になり、ゼネコンの施工管理はスカスカの人材で埋め尽くされていくことがこのままでは避けられません。

これから建設業界に就職しようとしている方は本当によく考えた方が良いです。

キツイ仕事だけど給料は良いし、それ以外にも甘い汁がある。

これくらいのバランスでないと建設業界に人は入っていません。

甘い汁は何でもよいのです。

住宅補助が手厚い等でも良いと思います。

私は建設業界を抜けることがすでに決まっているのでもう関係ないのですが、せっかくお世話になった業界なので人気業界になって欲しいという思いがあります。

最後に

色々書きましたが、

「裏金は悪である」

これは真実です。

裏金工作はしてはいけませんし、犯罪です。

ただ、非常にグレーな部分で甘い汁を吸っているゼネコン社員は実際にいるし、みんなそのポジションを狙っているのも事実です。

一方的に甘い汁だけを奪っても今後の建設業界で働く人材が流出するだけでしょう。

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