一級建築士ブロガーのTOMOです。
私は20代で一級建築士と一級建築施工管理技士を取得しています。
今回の記事は建設業界で働くなら20代で一級建築士を取得しておくべきという主旨の記事になります。
はじめに
この記事では主に建築を扱う仕事について記載します。
土木になると必要な資格は変わってきますので、話が変わってしまうからです。
建築に関わる仕事というと
・設計事務所
・ゼネコン
・街の工務店
・専門工事会社
・ハウスメーカー
・不動産会社
・公務員
・コンストラクションマネジメント会社
上記で建設業界全体の90%は占めるのではないでしょうか。
どの職種で働くにしても一級建築士資格は必要になります。
その理由について述べていきます。
①一級建築士しかできない業務がある
建築業界は一級建築士資格でないと従事できない業務が法律で決まっていますので、実務において資格が生きてきます。
持っているだけの資格にはなりにくいのです。
以下が建築士法第3条で明記されている一級建築士しかできない業務です。
建築士法第3条
法第3条 左の各号に掲げる建築物(建築基準法第85条第一項又は第二項に規定する応急仮設建築物を除く。)を新築する場合においては,一級建築士でなければ,その設計又は工事監理をしてはならない。
一 学校,病院,劇場,映画館,観覧場,公会堂,集会場(オーデイトリアムを有しないものを除く。)又は百貨店の用途に供する建築物で,延べ面積が500㎡をこえるもの
二 木造の建築物又は建築物の部分で,高さが13m又は軒の高さが9mを超えるもの
三 鉄筋コンクリート造,鉄骨造,石造,れん瓦造,コンクリートブロツク造若しくは無筋コンクリート造の建築物又は建築物の部分で,延べ面積が300㎡、高さが13m又は軒の高さが9mをこえるもの
四 延べ面積が1000㎡をこえ、且つ、階数が2以上の建築物
建築士法第3条の2
法第3条の2 前条第一項各号に掲げる建築物以外の建築物で,次の各号に掲げるものを新築する場合においては,一級建築士又は二級建築士でなければ,その設計又は工事監理をしてはならない。
一 前条第一項第三号に掲げる構造の建築物又は建築物の部分で,延べ面積が30㎡を超えるもの
二 延べ面積が100㎡(木造の建築物にあっては,300㎡)を超え,又は階数が2以上の建築物
建築士法第3条の3
第3条の3 前条第一項第二号に掲げる建築物以外の木造の建築物で,延べ面積が100㎡を超えるものを新築する場合においては,一級建築士,二級建築士又は木造建築士でなければ,その設計又は工事監理をしてはならない。
難しい文章で書いてあるのですが、簡単にまとめると以下のようになります。
一般的な木造住宅規模を超える建物の設計監理は一級建築士以外がしてはダメ!
木造の一般住宅レベルなら二級建築士でも設計監理してもいいよ。
どうでしょうか。
世の中に存在する建物はほとんどが一級建築士しか設計監理できないというのが分かると思います。
皆さんが普段利用する賃貸アパート、マンション、オフィス、ホテル、商業施設、スーパー、駅ビル、病院、学校etc….
街を構成するほぼ全ての建築物を建てるのに一級建築士資格が必要であることが分かると思います。
つまり建築の仕事をするのに一級建築士を持っていないということは、施工者の立場になるか施主側になるかしか道が残りません。
自分で自分の可能性を潰さないためには一級建築士資格が必要です。
②一級建築施工管理技士が取得しやすくなる
先ほど、一級建築士を持っていないと施工側になるしかないと書きましたが、施工側だとしても一級建築士資格は非常に役に立つ資格です。
一番わかりやすく役に立つのが施工者にとって超必須級の資格である一級建築施工管理技士の受験する際、一級建築士資格を取得していると一次試験が免除になります。
一級建築施工管理技士は工事現場の責任者である監理技術者になるための資格で、これを持っていないと工事現場では一生トップになれません。
一級建築施工管理技士試験の一次試験は突破すること自体は簡単なのですが、忙しい業務の合間を縫って勉強する必要がなくなります。
二次試験である実地試験は普通に施工管理職として働いていればサクッと合格できるので一級建築士に合格しておけば、一級建築施工管理技士もおまけでついてくるような感覚です。
以上のことから、施工系で働く場合でも
一級建築士→一級建築施工管理技士
の順に資格を取得することが自身のキャリアを築く上で最も効率的です。
逆に一級建築施工管理技士→一級建築士の順で取得するのはコスパが悪いです。
2回も必死に資格勉強しなければいけません。そんなことをしている内に年を取ってしまいます。
③一級建築士を持っていないと転職は厳しい
もし転職したいとなった時、建設業界がそもそも転職市場的に厳しいです。
転職市場で有利なキャリアというのは、コンサルや総合商社もしくは金融系の職種です。
これらの業界で働く人たちは業務上で世の中のお金の流れを把握することができ、企業間の取引においても取引先の上層部と直接やり取りしビジネスにおいて生き残るスキルを自然と身に着けてきます。
これが建設業界(特に設計事務所、ゼネコン)になると、20代の内にビジネススキルが中々身に付きません。
プロジェクトを俯瞰的に捉える場面は少なく、
設計であればプロジェクトの設計担当として非常に細かいところまで突き詰めますから、細かい技術者的な業務になります。
施工であれば現場を回すのに精一杯ですし、若手は特に目の前の業務に追われお金の流れや顧客の意図を考える機会は少ないです。
ビジネススキルを身に着けれらないまま気が付けば30歳というのが建設業界です。
同業他社以外はキャリアアップの転職はできないでしょう。
この流れを唯一打破できるのが、20代で一級建築士資格を持っている人です。
20代であれば大した実績がなくても一級建築士資格を取得しているポテンシャルが評価されての転職が簡単ではないですが、可能です。
私は現在大手ゼネコンで勤務していますが、転職する人はほぼ例外なく20代で一級建築士資格を持っている人です。
逆に言うとそれ以外の人は転職したくてもできないことがほとんどです。
④建築の仕事をするのに建築士資格なしでは素人と同じ
皆さんは税理士でない人に税金の相談をしますか。
司法試験を合格していない人に法律の相談をしますか。
医師免許を持っていない人に診察をお願いしますか。
しませんよね。
建築士でない人に建築の相談は普通に考えてしません。
当たり前のことなのですが、独立志向が強い税理士や弁護士などの資格と比べてサラリーマンが多い一級建築士ではこういう感覚が忘れられがちです。
建設業界では無資格者でもその道20年の職人とかであれば通用しますが、大卒でサラリーマンになっているような人が無資格ではその会社からは一生出れません。
大きな会社の看板に助けられて一級建築士資格を持たずとも働いている建築技術者は数えきれないほどいますが、個人対個人になった途端20年経験があったとしても対外的には素人と大して変わりません。
ただ、世の中のほぼ全ての一級建築士はサラリーマンであり、独立して一級建築士であることを武器にしている人はごくわずかという実情もあります。
大手ゼネコンや大手設計事務所では一級建築士資格を取っても特に手当がないのが当たり前ですから、持っていて当然という感覚であることが業界の雰囲気であるということです。
つまりプロとして仕事をする最低限のレベルです。
一部のぶっちぎったスキルがある人以外は20代で一級建築士を取りましょう。
まとめ
20代で一級建築士資格を取るべき理由について書いてきました。
私の結論は
新卒で入った建設業界の会社で特に出世も望まず、定年まで働く
という考えを持つ人以外は絶対に20代で一級建築士を取得するべきです。
・建設業界から飛び出て別の業界で仕事がしたい
・独立して建築家になりたい
・建設業界内で転職してキャリアアップしたい
・社内で出世する可能性を上げたい
これらに少しでも当てはまるのであれば20代で一級建築士を取得しましょう。
結果として転職もせず新卒で入った会社で定年を迎えるのも良いです。
自分で可能性を潰して生きていくのは本当にもったいないと思います。
最後に一級建築士合格法の私の記事を貼っておきます。
社会人3年目で一発合格していますので、役に立つかと思います。
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