まずはじめに
私は一級建築士資格を2019年に取得しました。正確にいうと、2018年の試験を受けて、資格証をもらったのが2019年です。
社会人3年目で初受験し、ストレート合格しました。
一級建築士の資格は建築系で働く人なら持っておいて損はない資格で、特に設計をされる方なら必須と言えるでしょう。私は現場系の人間なので、必要はないのですが持っておくと箔がつくかなと思い取得しました。
資格自体が業務でしっかり役に立った事はまだないのですが、一級建築士の資格を持っていると周りの方は建築のプロとして接してきます。そういう経験が増えるとプロとしての自覚が芽生えて、より精度の高い仕事をしようという気持ちになります。これは意外と重要です。プロ意識はどんな仕事をする人でも持つべきで、アマチュア意識でやる仕事に信頼関係は生まれません。
話が脱線しましたが、せっかくなので記憶が新しい内に合格メソッドというと大げさですが、これから受験される方や、何度か受験して合格できない方に向けてアドバイスとして記事を書くことにしました。
私は総合資格学院に通いましたので、資格学校に通うことを前提として記事を書いていきます。
一応書いておくと、一級建築士試験は学科試験を突破したのち、製図試験に合格して初めて合格となります。
今回は学科試験についてお話しします。
私の初受験での学科の点数は109点でしたので、運良く受かったということは無いはずです。
心構え
まずは具体的な話の前に学科試験に対する心構えについてです。
いきなり精神論かよ、という意見は真っ当です。
しかし、なぜこんな話からスタートかというと、一級建築士の学科試験は個々の内容は難しくありません。ただ、範囲が広く暗記勝負なところが多々あるため、勉強時間を確保することが重要です。
建設業で働く人々は基本的に多忙です。毎日の業務に追われながら、勉強をするには心の強さが必要になります。
今年必ず合格するという強い気持ちも持つ。
これこそが何より重要だと私は考えます。
ほぼ全ての人間はテキストを一度で暗記できません。とにかく反復です。
学科試験に出題される問題のうち80%はテキストを暗記していれば解けます。
よく資格学校は毎年大部分が新出問題です!って煽るのですが、これはオプションの講座を受けさせるための売り文句です。
4択のうち1択は初見でも、残りの3択が分かれば解けます。
暗記で解けない20%に関しても2択くらいには絞れる問題があるので、そのうち30%くらいは正解するでしょう。
そうすればこうです。
125×0.8+125×0.2×0.3=107.5点
これでどんな年でも受かります。
つまり、問題を解きまくって暗記する。これが運に左右されない最も合格しやすい勉強法です。
仕事が忙しいはただの言い訳です。毎日夜10時に帰ってきたとしても1時間くらいは勉強できます。
まずはこういった心構えを身につけること最優先です。
後述する部分は後回しどころか必要すらないかもしれません。
そうは言っても科目ごとに見ていきましょう。
計画 20点満点
計画は1番苦手でした。というのも
「いや知らんがな」
という問題が出やすいからです。
著名な建築物に関する問題や、建築様式の名称に関する問題は、もちろん過去問は解いていても、聞いたこともない奴が出てくると4択を絞り込むことすら困難です。普段から興味を持って新建築みたいな雑誌を読んでいるとか、建築史が好きとかじゃないと中々太刀打ちできません。
そんなものの対策に時間を割くのは無駄ですので、過去問だけ繰り返し解いて、あとは知らんぷりでいいと思います。
そのほかは大体暗記ものですので足切りレベルになることはありません。
ただ、私は計画14点でした。。。
環境設備 20点満点
環境設備の難しいところは勉強していても、リアルなイメージが湧きにくく、ピンとこないところです。
ただ、熱や音の問題は絵を書いて自分が納得いくイメージを作れれば、スッと内容が入ってきます。とにかく図示して計算問題や文章問題を解くようにしましょう。
慣れれば簡単、これが環境設備です。
私は18点でした。
法規 30点満点
法令集が持ち込めるという異質な科目ですが、本質は暗記です。全ての問題で法令集を使っていては時間が足りません。暗記で解くというのが基本スタンスです。確認申請や内装制限などの必ず出る部分は暗記で解きます。関連法の部分でたくさん法令集を引けるように序盤は暗記でいけるスキルを身につけてください。
これも反復練習しかありません。
わたしは本番で半分以上は法令集を使わず解き、答え合わせを余った時間でしました。
それでも27点でした。
構造 30点満点
構造は1番点が取りやすい科目だと考えています。私自身が学生時代構造系だったというのもありますが、すべて力学のイメージが根本にあり、それが小難しく書いてあるだけというのが構造の問題です。
あるモデルがあり、どの部分にどう力をかけるとそのモデルはどのように力がかかり変形するかということをイメージできると、難しいことを考えずとも筋道が立ちます。
計算問題は基本的に全問正解が求められます。基本が理解出来ていれば初見で解けないということはほぼないからです。
構造で苦戦するという人は見かけの記号や公式に目が行き過ぎです。自然界で起こっている力の流れを頭の良い先生が数式や記号で表せるようにしているということを理解するとよいです。初見の問題であっても、原理原則からは逃れられないので解けるところが構造の良いところです。
私は29点でした。
施工 25点満点
施工は原理原則で勝負できる科目ではないので、ひたすら暗記です。もちろん安全性とか施工性とか考えて何とかなる部分もあるのですが、そうやって考え抜いて問題を解いても規準でこう決まってるから不正解、ということばかりです。
ということで、勉強時間と結果が比例しやすい科目かと思います。とにかく時間をかけて問題を解きまくることが近道です。
私は21点でした。施工系の仕事をしてる割にはイマイチでしたね。。。
全体を通して
構造以外はとにかく暗記してくださいとしか書いていないのですが、実際学科試験はそういうものです。
いかに暗記する時間を作り、集中して暗記するか、です。
特に法規と構造は配点が高い割に運要素が小さいので、ここ二つを押さえるのが正攻法です。
勉強時間は人それぞれだと思います。覚えられればそれでいいのです。
資格学校は一週間で20時間勉強しろと言いますが、私はそこまでしていません。というか無理でした。
資格学校は生徒が不合格だったとき「こっちが言った時間勉強してないよね?だからダメだったんだよ」って言い訳するためにハードルの高い目標を言ってきます。(めちゃくちゃ私見です、すみません)
学科試験は資格学校には依存せず付き合った方が気が楽です。とにかくハッパかけてくるのですが、軽くあしらっておいて自分のやりたい勉強をひたすらすると良いです。教材はとても良いと思います。
復習より予習
多くの人は日曜日に授業があると思います。そこで宿題が出て、予習と復習が求められます。
宿題の復習は当然やってください。
あとは予習に時間を割きます。
総合資格だと受験範囲の大部分が終わるのが5月か6月とかだったと思います。あとは別途料金の補講でやります、みたいな。
別にそれでも問題はないと思うのですが、一つの目標として5月GWの段階で全範囲を自主的に予習しておき、それからの授業は全て復習とするところまで持っていく。
これくらいの先取り学習が出来ていれば合格できるのではないでしょうか。
もちろん、私の体験談です。
まとめ
一級建築士の学科試験の対策について僭越ながら書いてみました。当時は月60時間くらい残業しながら勉強していましたので、中々大変でしたが、もう一年やるよりはマシと思ってやっていました。
また、一級建築士資格取得はゴールではありません。スタートですらないと思います。
私が施工側だからかもしれませんが、持っていても実務ではほとんど役に立ちません。冒頭に書いたように自己研鑽としては意味はありますが。
そんなもののために高いお金を払い、多くの時間を費やす試験です。
何年もやるだけ損です。早く取りましょう。
最後は嫌な事を書いてしまいましたが、少しでもこの記事が一級建築士資格を取得しようとしている方の役に立てば幸いです。
次回は製図試験の対策について書きます。
それではまた!
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